本139:筒井康隆「聖痕」の連載完結と、異端カタリ派
朝日新聞朝刊の連載小説「聖痕」(筒井康隆)が昨13日に完結した。ツツイストの酔仙からも、お祝いを申し上げたい。
擬古文による実験はまた別に論ずるとして、テーマは、幼くして去勢された主人公が、人間の欲望を超克して成長する姿だろうか。
(↓クリックして、最終2回分を読めます)
この最終2回で金杉君が酔言として述べている。来たるべき人類の衰亡を、欲望を超克した静かな滅びへ導くべし云々、と。ここで酔仙は、かの南フランスの異端カタリ派を強く連想した。この世を悪ととらえ、肉と生殖を否定し、去勢者を指導者として教皇庁に抵抗し、ついに1244年最後の砦のモンセギュールが陥落して、すべての教徒が焚殺された。筒井師もまた、この異端派からこの小説を触発されたのではなかろうか。
他ではまだ指摘がされていないようなので、笑犬楼大通りの読者コメントに投稿を試みたが、さてどうだろうか。
3/21 追記。少し遅れたが、他の読者コメントとあわせて、酔仙のコメントも「読者からのコメント」欄に掲載された。同じ連載小説を読み終えながら、読者それぞれにいろいろな読み方がされているというのがまた面白い。興味ある方は、↑クリックして笑犬楼大通りをお訪ね下さい。
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